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大塚嘉和(おおつかよしかず)さん:大塚養鯉場
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大塚氏が作出した浅黄は、第34回、35回の2年連続で全日本総合錦鯉品評会の種別日本一を獲得し、同氏の浅黄生産者としての評価を不動のものにした。また、五色昭和、五色三色のレベルも着々と向上させ、多くの品評会の「五色の部」において上位入賞を果たしている実力者である。
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大塚養鯉場自体は1962年に創設されましたが、本格的に錦鯉の生産を始めたのは私が修業から戻った1984年になります。私は高校を卒業した後、父の兄にあたる伊佐与喜雄さん(丸与養鯉園)の下で2年間修業を積みました。他の人もそうだと思いますが、生産の仕事は人に教わるものではなく、先輩の仕事を見てその技術を目で盗み、考えながら自分のものにしていくしかありません。
父から養鯉業を引き継いだときは、専業でなかったために1町ほどの池しか持っていませんでしたが、この20年で4町5反にまで増やしました。今うちでは、落葉、五色三色、五色昭和、五色、浅黄、黄鯉、御三家、茶鯉、ドイツ系など、いろいろな品種を作っています。代表作はやはり浅黄、五色三色、五色昭和です。浅黄は全日本で2年連続種別優勝、五色三色や五色昭和も五色の部で次席を取れるようになり、たくさんの人に認めていただくことができました。鯉の好みは人それぞれ違いますが、私は自分が育てた鯉が、できるだけ多くの方々に楽しんで満足していただけるように努力しています。また、周囲の評価に関わらず、自分が納得できるだけの美しい鯉を作りたいとも思っています。自分が納得できる鯉がお客さんに喜んでいただけるようになったら最高ですね。将来、大塚養鯉場という名前を聞くだけで、その鯉のイメージが皆さんの頭にすっと浮かぶようなブランドを作りたいと願っています。
新潟県は錦鯉の原産地ですから、本当にたくさんの生産者がいます。どの生産者も、よりすばらしい鯉を作ろうと一所懸命に取り組んでいます。それが激しい競争となり、質の高い鯉を生み出しているのではないでしょうか。人と同じ鯉を作っていては独自性が出せませんし、独自性がないと競争には勝てませんからね。みんな自分の特色を出すために日々努力を重ね、新しい品種を作り出そうと試行錯誤しています。私も五色三色や五色昭和を固定させるのに6年近くかかりました。こうした向上心と競争が新潟の鯉の強みであり、大きな魅力につながっているのだと思います。
私は過保護に育て過ぎて鯉が弱くならないように、その一方では雑に扱い過ぎて鯉が病気にならないように常に細心の注意を払っています。愛好家の皆さんが鯉と長く付き合っていくためには、信頼できる業者さんから丈夫な鯉を手に入れ、愛情をもって大切に飼うことを心がけてください。私は生産者として多くの人に、息の長い愛好家でいて欲しいと願っています。今後も、愛好家の方々にご満足いただけるような鯉を作っていきますので、どうぞ末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。
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