細海正一(ほそかいしょういち)さん:細海養鯉場
細海正一さん

農家から錦鯉生産者に転身し、新潟を代表する養鯉場の1件に育てあげた細海氏は、一般的に養鯉業には適さないと言われている粘土質の土で浅黄を見事成功させ、数々の賞を受賞した。現在、五色の親鯉から素晴らしい鯉を次々と作り出している。


長男の勝さんと弟の正さん1970年、米の過剰生産を抑制するため、政府は米作を中止する農家に対して報奨金を出しました。当時私たちは農家でしたが、このまま余ってしまう米を作り続けるよりも、元々好きだった錦鯉を仕事にしたいと思い、鯉の生産を始めました。当初は家族総出で田んぼを池に作り変えたり、良い鯉を作るためにいろいろ改良を重ねたり、日々苦労は絶えませんでした。そうした努力の末、ようやく皆様に高い評価をいただける鯉を作ることができるようになりました。しかし順調だった生産も、昨年の震災で大きな被害を受けました。ほとんどの池が壊れ、使える池はわずか1、2割程度しか残らず、余震も続いていたので地割れが更に進む可能性があり、残った鯉を安全な池に移すだけでも1週間を費やしました。そんな中、親鯉のいる池に被害がなかったことだけが不幸中の幸いでした。結局、昨年は修復できた池と人から借りた池とで、震災前の7割程度まで回復したのですが、鯉自体にも地震の影響があったのか、産卵がうまくいきませんでした。

五色の部優勝鯉現在も、御三家、五色、浅黄、秋水、衣、孔雀、ドイツ山吹、落葉時雨、ドイツ時雨など幅広く生産しています。設立当初は紅白、大正三色で足がかりをつかみ、徐々に黄金、孔雀などさまざまな品種を手がけていきました。うちの生簀にはいろいろな種類の鯉がいますので、初心者の方にとっては、一度にたくさんの鯉を見比べることができ、勉強しやすいのではないかと思います。うちは浅黄と五色において、愛好家の方々に高い評価をいただいております。

浅黄浅黄は基本的に砂地の土質が良いとされてますが、私は良い親鯉を購入し、粘土質の土で丹精込めて育てた結果、1986年の17回大会を皮切りに数々の賞をいただくことができました。また、五色は親鯉の選別に成功し、とても良い鯉に成長したおかげで、今うちで一番の売れ筋となっており、海外の方々からも高い人気を得ています。背びれに光る銀の模様と、大きく伸びる体を持ったとても質の良い鯉です。今後も、このような鯉をたくさん作っていきたいと思っています。私は、型崩れせずに大きく伸びる質の良い鯉を目標とし、行く末はチャンピオンを獲得できればと願っています。

鯉を池に戻す鯉の種類も愛好家の方々の好みも、実にさまざまです。1匹の高価な鯉を買って楽しむ方や、経済的な価格の鯉を買って楽しむ方など、それぞれに違った楽しみ方をされています。私は、お客様の個々のニーズに対応できるような生産システムを作ることができたらおもしろいなと思っています。例えば、一方は経済的な面を重視してお求め安い価格で提供できる多品種の鯉を作り、また一方では、高価だけれど玄人が好むような一流の質が備わった鯉を作る、そんな需要と供給が融合したようなイメージです。これからは、どのような品種の鯉を作るのかということに、ある程度焦点を絞っていく方がよいかもしれません。私は、今まで培ってきた細貝養鯉場のカラーを大切にして、今後もより良い鯉の生産に取り組みながら、お客様の要望に応えられるさまざまな可能性を模索していきたいと思います。


INPCについて
生産者情報
ご挨拶
生産者紹介
錦鯉の病気
地域情報
home
錦鯉の里バナー
 
 
 

(取材日:2005年9月14日)

伊佐養鯉場 大日養鯉場 五十嵐養鯉場 丸坂養鯉場 山松養鯉場
鈴清養鯉場 国魚館 大家養殖場 細海養鯉場 魚沼錦鯉
丸堂養鯉場 和泉屋養鯉場 宮石養鯉場 大塚養鯉場 越路養鯉場
関口養鯉場 寺泊養鯉場 浦川養鯉場 岩下養鯉場 鯉のかんすけ
坂詰養鯉場 星米養鯉場 川上養鯉場 野上養鯉場