五十嵐世樹(いがらしせいき)さん:五十嵐養鯉場

五十嵐世樹さん
全日本錦鯉振興会新潟副地区長

長岡市大積田代の五十嵐養鯉場は兄弟が協力して、御三家を中心に変わりものなどほとんどの錦鯉を生産している。特に、金昭和と九紋竜の交配種である黄金色の金輝黒竜の作出者として知られる他、品質の良い山吹黄金を多く生産している。

先祖の遺影の前にてご子息と私は1965年、16歳のときに父親と一緒に養鯉業を始めました。材木屋をやっていた父親が怪我をして、それで始めたんですが、土地も何も無い状態からスコップ一本で池を作って、鯉は和泉屋さんに分けてもらって指導を受けながらのスタートでした。当時は和泉屋さんの錦鯉の半分くらいは私が管理していたかな。最初に和泉屋さんから買った親鯉は4ケ月で死なせてしまってね。でも一度金を払って所有者になったからには何が起きても100%責任は所有者にあるというのがこの業界のルールですから。いろいろ苦労しましたが、おかげさまでなんとか生産者として認めてもらえるようになったと思っています。

野池から錦鯉を運び出す錦鯉は水の中で生きているけれども、土が非常に大切です。普通、野池から上げてきて生け簀に入れた鯉は寝るんだけど、私の鯉は寝ない。それはミネラルが充分に足りているということです。頑張って肥料を与えても土がちゃんとしていないと代謝が行われないから栄養が行き渡らないんです。だから私の池では、最低2ケ月以上かけて土を作っておく。土ができて、はじめて水が安定する。ちゃんとした土のある池で育った鯉は抗生物質を一切使う必要がありません。

私の養鯉場ではいろいろな種類の鯉を作っていますが、たて鯉をちゃんと選別できる目を養うことが生産者としての責任だと思っています。紅白や大正三色などは体形と模様から、ある程度選べますが、変わりものは文字通り変化しますから、四季によっても変わりますから選別していて、これはたて鯉になるな、これは駄目だなと見分ける目をもたなければならない。決して簡単なことではないです。例えば山吹は選別するのに非常に時間がかかります。一色ですから。それでは何を見て判断するかというと、まず頭の光、それから副鱗の光り方、鱗の並び方、シミがないかどうかを見ます。

錦鯉を扱う姿は真剣そのもの愛好家の皆さんに助言するとすれば、そうですね、良い鯉を見分けるようになるには、できるだけ良い鯉を普段から見ることです。それも自分だけの世界ではなくて、品評会などに出向いて、高い評価を得ている鯉をたくさん見ることです。鯉の良し悪しは比較ですから、自分の鯉と相手の鯉とどこが違うのかを見るようにすると段々目が養われてきます。一般的に、愛好家は鯉の模様しか見ていない。それに対して私たち生産者はイメージをもって作っているわけですから何が良いか良くないかの判断基準が違ってきます。生産者の判断と審査員の審査結果もイコールでないことが多いんです。

五十嵐さん作出の金輝黒龍私が判断する基準は、やはり体形と質です。質と言っても色々ですが、例えば紅白でしたら、私は白地と際(色の境界線)、そして鱗を見ます。良い鯉は鱗の中の色が濃い。

系統も大切ですが、種類によっては系統が余り反映しないものもあります。紅白や大正三色は比較的系統が残りやすい種類ですが、昭和三色になると系統はあまり受け継がれないで、突然良いものが出たり、系統は悪くなくても良い鯉が全く出ないということがあります。このように言うと、錦鯉は評価が大変だと思われるかも知れませんが、大切なことは、やはり錦鯉は自然の産物ですから個性があって当然だということです。要は綺麗な鯉を綺麗だと感じる感性を育てることで、これは理屈ではなくて実際に4年以上は自分で飼ってみると自然に分かるようになってきます。

もうひとつ大切なことは、鯉を死なせないで長く飼っていただきたいということです。錦鯉は強い魚ですが、可愛がり過ぎて殺してしまう愛好家がかなりたくさんいらっしゃいます。錦鯉を殺してしまう原因は、餌のやり過ぎ、管理の悪さ、次に病気です。これらはいずれもちゃんと対処すれば解決できることです。病気についてもパニックにならないで私たち生産者に聞いてくだされば解決策をお伝えできると思います。

その意味でも、INPCを大いに活用していただきたいと思います。

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(取材日:2005年7月16日)

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